家庭とAI 手順とテンプレ
生成AIの家庭ルールを親子30分で決める手順とひな形
保護者が先にサービスの規約と設定を確かめ、そのあと子どもと、入力しない情報や提出物の扱いを決めます。使うのは付属のシート1枚と、文部科学省ガイドラインの確認点です。
BRIEF この記事で終わること
家庭の生成AI利用ルールのシートが1枚書き上がり、規約の確認欄と次に見直す日まで記入されている。
| 記事の型 | 手順とテンプレ |
|---|---|
| 所要時間 | 30分 |
| 必要なもの | 印刷したシート(A4・2枚)、筆記用具、子どもが使っているAIサービスの規約画面、学校から配られた生成AIの案内(あれば) |
| 手元に残るもの | 6項目が記入済みの家庭の生成AIルールシート(A4・2枚) |
| 配布素材 | 家庭の生成AI利用ルールシート |
| 参照した資料 | 1件(記事末に一覧) |
6項目を1枚にまとめ、30分で最初の版を決める
家庭の生成AIルールは、A4で1枚のシートに6項目を書き込めば最初の版になります。文部科学省が令和6年12月26日に公表した「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」は、教職員や教育委員会を主な読み手にした資料です。同ガイドライン p.4 には、学校現場での利活用を一律に禁止したり義務付けたりするものではないと書かれています。家庭向けのルールの型を定めた公的な資料は、今回確かめた範囲では見当たりません。
そこで、学校向けに挙げられた確認点を家庭で話せる形に置き換え、次の6項目のシートにしました。
- 使うサービスと契約の窓口
- 入力欄に入れない情報
- 提出物での使い方と記録
- 答えの確かめ方
- 困ったときの相談先
- 見直しの日
進め方は2段階です。前半の10分は、保護者が先に項目1を埋めます。規約と設定画面の確認は、大人が画面を見て進めたほうが早く終わるためです。後半の20分で、子どもと一緒に項目2から6を決めます。
家庭の生成AI利用ルールシート
katei-seisei-ai-rule-sheet.mdMarkdown5ステップ・記入欄40以上
シートの各項目がガイドラインのどこに当たるか
次の表は、6項目とガイドラインの記述を並べたものです。右列は編集部が家庭向けに置き換えた文で、ガイドラインの原文は中列に示しました。
| シートの項目 | ガイドラインの記述 | 家庭での置き換え |
|---|---|---|
| 1 サービスと契約 | p.10 年齢制限や保護者の同意の必要性、生成物のライセンスの所在などは、提供者が定める最新の利用規約で確認する | 年齢条件、同意の要否、学習設定を大人が確かめる |
| 2 入れない情報 | p.19 プロンプトに氏名や写真等の個人情報を入力させないよう留意する | 入力欄に書かない情報を親子で線引きする |
| 3 提出物と記録 | p.18 生成物をほぼそのまま応募・提出することは、不適切と考えられる例。p.20 サービス名称、プロンプト、日付を明示する例 | 使う場面を分け、記録欄に日付とサービス名を残す |
| 4 確かめ方 | p.9 注10 発信者、時期、内容、他の情報との比較を組み合わせる | 3つの確認欄で出力を裏取りする |
| 5 相談先 | p.11 保護者等への説明の機会や問合せの窓口を設けることも考えられる | 学校の窓口を書く。著作権は文化庁の窓口も候補にする |
| 6 見直し | p.4 技術の進展や取組の状況を踏まえ、必要に応じて改訂を行うことを想定 | 学期の区切りなど、日付を先に決める |
手順1 サービスを書き出し、規約と設定を大人が確かめる(10分)
ガイドライン p.10 は、年齢制限や保護者の同意の必要性、生成物のライセンスの所在などを、サービス提供者が定める最新の利用規約で確認するよう求めています。p.11 の注15 には、利用規約に基づいて保護者の同意が必要となる場合があると書かれています。
シートのステップ1の表に、家で使うサービスを書き出します。チャット型のサービスに加えて、検索エンジンや学習用ソフトに組み込まれた生成AIも対象に入れます。p.19 が、こうしたサービスにも同じ考え方を当てているためです。
- 規約の年齢条件を読み、該当する箇所を表に写します。
- 保護者の同意が要るかを確かめ、「要」「不要」「不明」のどれかを書きます。
- 入力内容を学習に使わない設定があるかを確かめます。p.19 は、そのような設定を講じたうえでの利用を推奨しています。
- 有料プランの契約と支払いの窓口を、家庭で誰にするか決めます。
年齢の数字はここに書きません。サービスごとに規約が別々に定められているため、原文で確かめる形にしました。
学校が独自に生成AIの使い方を案内している場合があります。p.19 は、教育委員会の方針に基づいて児童生徒に利用させると書いており、家庭のルールより先に学校の配布物を確かめるという選択肢があります。
手順2 入力欄に入れない情報を線引きする(5分)
ガイドライン p.19 は、児童生徒が生成AIを使う場面で、個人情報の入力について次のように書いています。
プロンプトに氏名や写真等の個人情報を入力させないよう留意する。
「等」の中身は、同ページには書かれていません。家庭では、学校名、住所、友人や家族の名前、成績表や提出済み書類の写しなどを候補に挙げます。シートのステップ2の表で、情報ごとに「入れない」「大人と相談」「入れてよい」のどれかに丸を付けます。迷う情報は「大人と相談」の列に置くと、その場で決め切らずに進められます。
手順3 提出物での使い方を決め、記録欄を作る(8分)
ガイドライン p.18 の Box-5 は、コンクールの作品やレポート、小論文等で、生成AIの生成物をほぼそのまま自己の成果物として応募・提出することを、不適切と考えられる例に挙げています。同じ表の利活用が考えられる例には、自分で作った文章をAIに修正させたものを「たたき台」にして、自分なりに何度も推敲する使い方が入っています。
p.20 の Box-6 には、出力をそのまま提出すると活動を通じた学びが得られず、自分のためにならないことを十分に指導し、保護者にも周知して理解を得る必要があると書かれています。
シートのステップ3では、場面ごとに「AIを使う場面」と「自分の手で書く場面」を分けます。たとえば探究の問いを磨く場面はAIに質問を出してもらい、提出用の文章は最初の下書きを自分で書いてから、AIに直しの案を出してもらいます。
記録欄には、日付、サービス名、入力した内容の要約、自分で直した箇所を書きます。p.20 は、生成AIの出力を課題で引用する場合に、サービスの名称、入力したプロンプト、日付を明示する例を挙げています。記録は子ども自身が書き、大人は読む役に回る形があります。
手順4 答えの確かめ方を決め、AIでルールの言い換え案を作る(5分)
ガイドライン p.9 の注10 は、ファクトチェックでは情報の発信者、発信された時期、内容、他の情報との比較といった複数の方法を組み合わせる必要があると書いています。検索結果に生成AIが出力したものが含まれる可能性にも、同じ注が触れています。シートには「発信者」「時期」「他の情報との比較」の3つの確認欄を置きました。
p.7 は、生成AIの出力を「参考の一つ」「最適解とは限らない」と認識し、最後は人間が判断して成果物に自ら責任を持つ姿勢を示しています。
シートに書いたルールが硬い文面になったときは、AIに言い換えの案を出してもらう方法があります。次の文をコピーし、末尾に決めたルールを貼ります。氏名や学校名は入れません。
次の家庭ルールを、高校生が読んで納得しやすい言葉に言い換えてください。 条件は3つです。1項目を2文以内にすること。命令口調にしないこと。ルールの意味を変えないこと。 出力は、項目の番号を残した箇条書きにしてください。 家庭のルール案: (ここにシートの項目1から6の文を貼る)
出力はそのままシートに貼らず、次の順で直します。
- 元の文と並べて、意味が変わった箇所に線を引きます。
- 元の案にない禁止や罰が足されていたら、削ります。
- 自分の家で普段使う言葉に置き換えます。
- 声に出して読み、守れそうかを親子で確かめてから、シートに書き写します。
手順5 相談先と見直しの日を書く(2分)
ガイドライン p.11 は、必要に応じて保護者等への説明の機会や問合せの窓口を設けることも考えられるとしています。窓口の有無は学校ごとに異なるため、シートには窓口の名前と、案内が載っている配布物の所在を書きます。
著作権に関する判断は、p.12 によれば最終的には司法判断になります。同ページは、必要に応じて文化庁が開設している相談窓口の活用も挙げています。
見直しの日は、シートの最後に先に書き込みます。ガイドライン自身も p.4 で、技術の進展や学校現場の取組の状況を踏まえて必要に応じて改訂する想定を示しているためです。学期の区切りなど、家庭が覚えやすい日を選びます。見直しの日には、記録欄を見ながら次の3つを話します。
- AIの出力をそのまま提出した場面はあったか。
- 入れないと決めた情報を入力した場面はあったか。
- 窮屈で守れていない項目はどれか。
今週の作業
今週は、子どもが使っているサービスを1つ選び、規約の年齢条件と保護者の同意の箇所をステップ1の表に写すところまでが区切りです。残る5項目は、その表を見ながら親子で決めます。
よくある質問
何歳から生成AIを使わせてよいかは、どこで分かりますか。
サービスごとの利用規約に、年齢条件と保護者の同意の要否が書かれています。ガイドライン p.10 と p.11 の注15 が、規約の確認を求めています。年齢の数字を家庭向けに示した記述は、今回読んだページには見当たりません。
学校の課題でAIを使ってよいかは、誰に確かめますか。
担任や教科の先生、学校の窓口に確かめる選択肢があります。ガイドライン p.20 には、課題の中で生成AIの出力を引用する場合に、サービス名や日付を明記する対応が考えられると書かれています。
LIMITS この手順で解けないこと
- 学校ごとの利用の取り決めや校則の内容は、この手順では分かりません。学校の配布物や窓口で確かめる場面です。
- サービスの規約や年齢条件は改定されることがあります。条件の中身は、各サービスの原文が正本です。
- 子どもの心身の不調や、ルールを巡る家庭内の深刻な対立には対応できません。学校や自治体の相談窓口を探す場面です。
できることだけを並べても判断は早くなりません。扱えない範囲を先に出しています。
参照した資料
資料 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」 (令和6年12月26日公表。本文中の p.4、7、9(注10)、10、11(注15)、12、18、19、20 を PDF で読んで参照。p.25 の確認項目もシートの項目立ての参考にした。)



