家庭とAI 手順とテンプレ
文部科学省の生成AIガイドラインで高校の方針を確かめる保護者の手順
高校から生成AIの案内が届いたら、文部科学省のガイドラインと並べて読む方法があります。並べると、学校が決めていることと家庭で決めることが分かれます。この記事では、その仕分けを40分で終える手順と記入式のシートを示します。
BRIEF この記事で終わること
学校の生成AIの案内が8項目に仕分けられ、学校に確かめる質問が3つまで書き上がっている状態。
| 記事の型 | 手順とテンプレ |
|---|---|
| 所要時間 | 40分 |
| 必要なもの | 学校から届いた生成AIの案内、文部科学省のガイドライン Ver.2.0 のPDF、筆記用具、AIチャット1つ(任意) |
| 手元に残るもの | 8項目の突き合わせ表と学校への質問3つが記入済みのシート |
| 配布素材 | 学校の生成AI方針 突き合わせシート |
| 参照した資料 | 2件(記事末に一覧) |
学校から「生成AIの利用について」という案内が届いたら、文部科学省のガイドライン Ver.2.0 と並べて読む方法があります。並べると、案内に書かれている項目と、書かれていない項目が分かれます。書かれていない項目を3つまでの質問にまとめれば、面談や保護者会で確かめられます。作業は40分を目安に組んでいます。
学校の案内とガイドラインを8項目で並べる
作業の芯は、学校の案内を8つの項目に仕分けることです。項目は、ガイドライン Ver.2.0 のうち高校生の学習場面に関わる記述から選びました。学校の案内に書かれていない項目が、学校に尋ねる候補になります。家庭で決められる項目と、学校の判断を待つ項目も、この段階で分かれます。
ガイドラインの位置づけは p.4 に書かれています。主たる読み手は、教職員や教育委員会等の学校教育関係者です。利活用を一律に禁止したり義務付けたりするものではない、とも書かれています。運用を決めるのは各学校と教育委員会です。学校の案内とガイドラインの書き方が違っていても、それだけで学校の誤りとは読めません。
ガイドラインのPDFと改訂の経緯
最初に、手元の資料の版を確かめます。同ガイドライン p.3〜4 によると、文部科学省は令和5年7月に暫定的なガイドライン ver1.0 を公表しました。令和6年7月に検討会議を設け、議論を経て令和6年12月26日に Ver.2.0 を出しています。
| 版 | 公表時期 | 名称 |
|---|---|---|
| ver1.0 | 令和5年7月 | 初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン |
| Ver.2.0 | 令和6年12月26日 | 初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン |
p.4 には、技術の進展などを踏まえて必要に応じて改訂を行うことを想定している、とあります。学校の案内が ver1.0 の時期に作られている場合もあるので、案内の日付も控えます。Ver.2.0 より新しい版が出ているかは、まだ確かめていません。文部科学省のサイトで最新の版を確かめてから作業に入る方法があります。この記事で使うのは p.4、p.5、p.10〜11、p.18〜22 です。
手順1 学校の方針を3か所から集める
集める先は、学校からの配布物、学校のウェブサイト、教育委員会のウェブサイトの3か所です。ガイドライン p.21 には、教育委員会が主導して制度設計や利活用の方向性を示すことが重要だと書かれています。そのため、公立高校では教育委員会の指針が学校の案内の元になっている場合があります。見つからなかった場所は「見当たらない」と書いて先へ進みます。ここは10分を目安にします。
手順2 8項目の表に学校の記述を写す
次の表の右列を手がかりに、学校の案内から該当する文を探して写します。左の2列は、ガイドラインの記述と該当ページです。
| 項目 | ガイドラインの記述 | 案内で探す語 |
|---|---|---|
| 1 利用規約と年齢制限 | p.10 年齢制限や保護者の同意の必要性を含む最新の利用規約を確認し遵守する | 規約、年齢、同意 |
| 2 入力しない情報 | p.19 プロンプトに氏名や写真等の個人情報を入力させないよう留意する | 個人情報、氏名、写真 |
| 3 学習させない設定 | p.19 機械学習を許容しない設定を講じた上で利活用すること等が考えられる | 設定、オプトアウト |
| 4 課題での使い方 | p.18 レポート・小論文等を生成物ほぼそのままで提出する例を、不適切と考えられる例に挙げる | 課題、レポート、提出 |
| 5 使ったことの明記 | p.20 ツールの名称、入力したプロンプトや出力、日付等を明記させることが考えられる | 明記、記録、引用 |
| 6 学校外での利用 | p.20 保護者に周知し、理解を得ることが必要 | 家庭、校外、保護者 |
| 7 作品の公開 | p.19 学校のHPへのアップロードや外部コンテストへの提出は授業目的の範囲を超える利用にあたる | 公開、コンテスト、著作権 |
| 8 費用と問合せ先 | p.22 将来にわたって無償や安価な価格で利用可能とは限らない。p.11 問合せの窓口を設けることも考えられる | 費用、窓口、連絡先 |
写した文の後ろに、案内のページか日付を添えます。後で学校に尋ねるとき、どの記述を読んだかを示せます。8項目のうち空欄になった数が、次の手順の材料です。
手順3 AIに仕分けの下書きを作らせる場合
案内が長い場合は、AIに仕分けの下書きを作らせる選択肢があります。貼り付ける前に、生徒の氏名、担任名、学校名を消しておきます。次の文をそのまま貼り、最後の行に案内の本文を入れます。
次の文章は、高校から保護者に配られた生成AIの利用に関する案内です。
下の8項目ごとに、案内の中で該当する文をそのまま抜き出してください。
要約や言い換えはしないでください。
該当する文がない項目は「記載なし」と書いてください。
推測で補わないでください。
1 利用規約と年齢制限
2 入力しない情報
3 学習させない設定
4 課題での使い方
5 使ったことの明記
6 学校外での利用
7 作品の公開
8 費用と問合せ先
【案内の文章】ガイドライン p.5 によると、誤った出力をモデルの性質上なくすことは、極めて難しいとされています。出力は下書きとして扱い、次の2点を手で直します。
- 抜き出された文を、案内の原文と1文ずつ照らし合わせます。原文に無い文が混ざっていたら消します。
- 「記載なし」の項目は、表の「案内で探す語」を使って原文を目で探し直します。見つかった文は表に写します。
手順4 空欄を学校への質問に書き換える
空欄の項目から、質問を3つまで選びます。先に選ぶのは、提出物に関わる項目4と5です。課題ごとに扱いが違う場合があり、家庭の側では決められないからです。質問は賛否を含めず、扱いを尋ねる形にします。
- 項目5が空欄なら「課題で生成AIを使った場合、使ったことをどう書けばよいか、決まりはありますか」と尋ねます。
- 項目6が空欄なら「家庭で生成AIを使うとき、学校として気を付けてほしい点はありますか」と尋ねます。
- 項目8が空欄なら「生成AIについての問合せは、どちらに連絡すればよいですか」と尋ねます。
ガイドラインは、学校から保護者への情報提供を次のように書いています。
保護者に対しても、生成AIの利活用目的やその態様等の情報を提供することが重要である。また、児童生徒が学校外で生成AIを利活用する可能性も踏まえ、生成AIを不適切に利活用されないように周知し、理解を得ることが必要である。
質問は、面談、連絡帳、学校の問合せ窓口のうち、学校が案内している経路で送ります。
手順5 表を子どもと10分で見返す
表ができたら、子どもと一緒に見返します。項目1、2、3、6は家庭で決められる部分が大きく、項目4、5、7は学校の決まりに従う部分です。境目を表の上で指さして確かめると、どちらの決まりの話かが混ざりにくくなります。
提出物については、ガイドライン p.20 の Box-6 に、自分で作った文章を生成AIに修正させたものを「たたき台」として、何度も自分で推敲する使い方が挙げられています。AIの出力をそのまま出すのではなく、AIと一緒に自分の言葉を作る、という置き方です。家庭の話し合いでも、この一文を共通の前提にできます。
表は確認の手がかりです。課題での使い方の可否は、各学校と担当の先生が決めます。
学校の生成AI方針 突き合わせシート
seisei-ai-gakko-hoshin-tsukiawase-sheet.mdMarkdown5ステップ・記入欄30
質問を送ったら、返答の日付と内容を表の欄外に書き足します。次に学校から新しい案内が届いたときは、同じ表に上書きせず、新しいシートで手順2から始めます。
よくある質問
文部科学省の生成AIガイドラインのPDFはどこで読めますか。
文部科学省のサイトで公開されています。Ver.2.0 は令和6年12月26日付です。最新の版かどうかは、読む前に文部科学省のサイトで確かめる方法があります。
ガイドラインは高校にも当てはまりますか。
名称のとおり初等中等教育段階が対象で、高校も含まれます。ただし p.4 には、利活用を一律に禁止したり義務付けたりするものではないと書かれています。各高校の運用は、学校と教育委員会の判断によります。
ver1.0 と Ver.2.0 では何が変わりましたか。
同ガイドライン p.3〜4 によると、令和5年7月の暫定的なガイドラインを基に、検討会議の議論を経て改訂されました。名称は「利用に関する暫定的な」から「利活用に関する」に変わっています。個々の記述の差分は、両方の版を並べて確かめる必要があります。
参照した資料
資料 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」 (令和6年12月26日。p.3〜4 経緯と位置付け、p.5 ハルシネーション、p.10〜11 共通の5観点と問合せ窓口、p.18 Box-5、p.19〜20 学習場面の利活用のポイントとBox-6、p.21〜22 教育委員会等のポイントを参照)
資料 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン(ver1.0)」 (令和5年7月公表。Ver.2.0 の p.3 に記載された経緯として参照)



