高校生の探究と進路のAIガイド

探究の進め方 手順とテンプレ

探究テーマが決まらない高校生のためのAI壁打ち手順

テーマが決まらないまま時間だけが過ぎているなら、AIに考えを言葉として返してもらう壁打ちから始めると、止まっていた手が動き出します。

BRIEF この記事で終わること

AIとの壁打ちを経て、自分の言葉で説明できる探究テーマ候補が3つ、記入シートに書き出されている状態

記事の型 手順とテンプレ
所要時間 60分
必要なもの 筆記用具、AIチャットサービス1つ、この記事の記入シート
手元に残るもの 記入済みの探究テーマ壁打ちシート(候補3つと選定理由つき)
配布素材 探究テーマ壁打ちシート
参照した資料 3件(記事末に一覧)

探究テーマが決まらないときは、いきなり答えを探すより先に、AIに考えを言葉にして返してもらう「壁打ち」から始めると手が動きやすくなります。壁打ちは答えをもらう作業ではなく、自分の頭の中にある断片を言葉として外に出す作業です。この記事では、興味のタネを書き出すところから、AIとのやり取りを経て、テーマ候補を3つまで絞り込むところまでの手順を、そのまま使えるプロンプトと記入シートつきで紹介します。

この記事の対象と所要時間

対象は、探究のテーマがまだ決まっていない高校生本人です。保護者や先生と一緒に取り組む場合も、記入シートはそのまま使えます。所要時間の目安は60分です。興味のタネ出しに10分、AIとの壁打ちに25分、候補の言い換えと絞り込みに25分かかります。一度に終わらなくても、区切って進められます。

ステップ1 興味のタネを5個書き出す(10分)

最初にAIに聞く前に、自分の中にある材料を紙に出します。好きな教科、気になったニュース、身近な困りごと、やってみたい仕事、疑問に思ったまま放置していることのうち、思いつくものを5個書き出します。うまい言葉でなくてもかまいません。単語や短いフレーズで十分です。

書き出す時のコツ

「好き」だけでなく「なぜ好きか」も一言添えると、次のステップでAIへの質問がつくりやすくなります。

ステップ2 AIに壁打ち相手になってもらう(25分)

書き出した5個をAIに渡し、テーマの候補に育ててもらいます。次のプロンプトをそのままコピーして使えます。

あなたは高校の探究学習のテーマ決めを手伝う壁打ち相手です。私が気になっていることを5個書きます。それぞれについて、「なぜ気になっているのか」を深掘りする質問を1つずつ返してください。答えを提案しないでください。質問だけを返してください。

気になっていること:

  1. (ここに書いたものを貼り付け)

AIから返ってきた質問に、実際に1〜2文で答えます。答え終わったら、次のプロンプトで候補に変換します。

今までのやり取りを踏まえて、探究のテーマ候補を5個、それぞれ1行で提案してください。テーマは「〜について」ではなく、「〜はなぜ〜か」「〜と〜の関係は何か」のように、調べる対象と問いの形がわかる書き方にしてください。

ここで出てくる候補は、あくまで下書きの材料です。AIの返答は下書きの材料であって、探究テーマそのものではありません。次のステップで自分の言葉に直します。

AIに考えてもらうのはズルではありませんか。
読者
最終的にテーマを選び、言葉にして書くのは自分自身です。AIは材料を広げる道具として使っています。
タネ

ステップ3 候補を自分の言葉に言い換える(15分)

AIが出した5個の候補から、気になるものを3個選びます。それぞれを、AIの表現のまま使わず、自分の言葉で言い換えます。言い換えるときは、次の3点を確認します。ひとつ、友達に口頭で説明できる言い方になっているか。ふたつ、調べる方法が具体的に思い浮かぶか。みっつ、興味が数ヶ月続きそうか。言い換えられない候補は、無理に残さず外します。

問題意識を常に持ち、問いを立て続けることや、その前提としての「学びに向かう力、人間性等」の涵養がこれまで以上に重要になる。

引用文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」令和6年12月26日p.7「学びと生成AI」

同ガイドラインのこの部分は、AIに聞くこと自体よりも、自分で問いを立て続ける力を重視しています。言い換える作業は、その力を使う場面です。

ステップ4 3つまで絞り込んで選定理由を書く(15分)

言い換えが終わった候補から、最終的に1〜3個を選びます。選ぶときの基準は、興味が続きそうか、調べる方法があるか、決められた期間内に形にできそうかの3点です。選んだ理由を1行で書き添えておくと、後で先生に相談するときにも説明しやすくなります。

候補が3つとも同じくらい気になって選べません。
読者
迷う場合は、調べる方法が一番具体的に思い浮かぶものを優先すると決めやすくなります。
タネ

AIの提案をそのまま使わないための直し方

AIが出したテーマ候補や説明文を、そのまま探究の記録や提出物に貼り付けることはおすすめしません。直し方は次の3つです。ひとつ、AIの語尾や言い回しを自分がふだん使う言葉に書き換える。ふたつ、AIが挙げた根拠や数値は、教科書や公的資料など別の情報源で確かめる。みっつ、AIに聞く前から自分が持っていた疑問を1文足す。

調べる段階での注意

文部科学省のガイドライン(令和6年12月26日)p.18は、テーマに基づいて調べる場面で、教科書等の質が担保された教材を使う前にAIを安易に利用することを、望ましくない例として挙げています。テーマが決まった後の調査は、教材や一次資料を先に確認してください。

よくある行き詰まりパターンと抜け方

テーマ決めで止まりやすいパターンと、抜け方の対応を表にまとめます。

止まり方状態抜け方
候補が広すぎる「環境問題」のように対象が国レベルで大きい自分の学校や地域など、調べられる範囲まで対象を狭める
候補が誰かの受け売りニュースで見た論点をそのまま書いている自分が実際に確かめたい部分だけを1文に絞る
候補が思いつかない5個のタネを出す時点で止まる好き嫌いではなく「最近時間を使ったこと」から書き出す

この記事でできないこと

この記事の手順とシートで進められるのは、テーマ候補を出し、自分の言葉に言い換えるところまでです。次の3点は扱っていません。

  • 出したテーマが探究の評価基準に合うかどうかの判定
  • 調査計画や参考文献の探し方そのものの手順
  • 学校や自治体ごとの生成AI利用ルールの解釈

これらは、学校の担当の先生や、募集要項・学校のガイドラインを直接確認することをおすすめします。

探究テーマ壁打ちシート

tankyu-theme-kabeuchi-sheet.mdMarkdown4ステップ・記入欄20

よくある質問

生成AIの壁打ちとは何ですか。

自分の考えを声に出す代わりにAIに投げかけ、返ってきた言葉を手がかりに考えを広げたり整理したりする使い方です。文部科学省のガイドライン(令和6年12月26日)p.5でも、ブレインストーミングの壁打ち相手としての利活用が社会に広がっていると触れられています。

AIが提案したテーマをそのまま提出してもいいですか。

おすすめしません。AIの提案は一般的な情報から作られた候補にすぎないため、自分の言葉に言い換え、調べる方法があるか確認してから使う手順をこの記事で紹介しています。

LIMITS この手順で解けないこと

  • 出したテーマ候補が探究の評価基準に合うかどうかは判定しません。
  • 調査計画の立て方や参考文献の探し方そのものは扱っていません。
  • 学校や自治体ごとの生成AI利用ルールの解釈は行っていません。

できることだけを並べても判断は早くなりません。扱えない範囲を先に出しています。

References

参照した資料

資料 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」 (令和6年12月26日発表。p.5「ブレインストーミングの壁打ち相手としての利活用」の記述を参照)

資料 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」 (令和6年12月26日発表。p.7「学びと生成AI」問いを立て続けることの重要性の記述を参照)

資料 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」 (令和6年12月26日発表。p.18「不適切と考えられる例」テーマに基づき調べる場面での留意点を参照)

#探究学習#テーマ決め#AI壁打ち#プロンプト#高校生

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