志望理由書・提出書類 手順とテンプレ
志望理由書の「やりたいこと」が決まらないときに使う発見チェックシートの書き方
「将来の夢が決まっていないと書けない」と思われがちな志望理由書ですが、まず必要なのは夢ではなく、自分が反応した瞬間を集めることです。この記事では発見チェックシートを使った手順を示します。
BRIEF この記事で終わること
自分が反応した経験を3つの物差しで書き出し、志望理由書の書き出しに使える骨子候補が手元にできている状態
| 記事の型 | 手順とテンプレ |
|---|---|
| 所要時間 | 2日に分けて計90分 |
| 必要なもの | 筆記用具またはテキストエディタ、これまでの活動を振り返れる記録(部活動ノート・写真など)、AIチャット1つ |
| 手元に残るもの | 3つの物差しで書き込んだ発見チェックシートと骨子候補メモ |
| 配布素材 | 志望理由書 やりたいこと発見チェックシート |
| 参照した資料 | 2件(記事末に一覧) |
結論:反応した瞬間を先に集めます
志望理由書の「やりたいこと」欄が書けないとき、原因は将来の夢が無いことではない場合があります。「やりたいこと」が思いつかないことは、珍しいことではありません。「やりたいこと」を直接探そうとしていることが止まる原因です。先に集めるべきは、自分が何かに反応した瞬間の記録です。この記事は、3つの物差しで興味の種を洗い出す手順と、そのまま使える発見チェックシートを示します。
なぜ「やりたいこと」から探すと止まるのか
「やりたいこと」という言葉は、将来の職業や学部といった大きな決定を先に求めます。文部科学省の学習指導要領解説(総合的な探究の時間編)は、課題の発見を自己の在り方生き方と結び付けて説明しています。次の記述は、その場面を表しています。
事象を自己の在り方生き方を考えながら捉えることで,感性や問題意識が揺さぶられ,学習活動への取組が真剣になる。自己との関わりを意識して課題を発見する。
志望理由書の「やりたいこと」欄も、同じ順番で書くという選択肢があります。大きな夢を先に決めるのではなく、自分が反応した瞬間を先に集め、そこから言葉にしていく順番です。
手順1 3つの物差しで反応を棚卸しする
文部科学省の「キャリア・パスポート」高等学校向け例示資料には、自己理解・自己管理能力を捉える物差しが示されています。その物差しは「できること」「意義を感じること」「したいこと」の3つです。この3つを使って、これまでの経験を棚卸しします。得意・満足・気になるの3つに優劣はありません。どれか1つからでも棚卸しを始められます。
- できること: 授業・部活動・係活動・アルバイトなどで、人より少し得意だった作業
- 意義を感じること: 時間を忘れて取り組めた作業や、終わった後に満足感が残った場面
- したいこと: まだやったことはないが、見聞きして気になった分野や活動
各項目に、具体的な出来事を3つずつ書き出します。抽象的な言葉ではなく、いつ・どこで・何をしていた場面かまで書くことが、次の手順で使う材料になります。
手順2 棚卸しした場面を「関わりたい問題」に言い換える
書き出した場面には、共通する対象や状況が含まれていることがあります。例えば「文化祭の広報物を作るのが得意だった」と「地域の防災訓練のポスターが気になった」には共通点があります。どちらも「情報をどう伝えるか」という関心です。場面を横に並べ、共通する言葉を探します。共通点が複数見つかった場合は、最も具体的な場面が多い言葉を優先します。
| 場面 | 共通する言葉 | 関わりたい問題(仮) |
|---|---|---|
| 文化祭の広報物作り | 情報の伝え方 | 伝わる情報デザイン |
| 地域の防災訓練のポスター | 情報の伝え方 | 防災情報の伝え方 |
| 後輩に勉強を教えた経験 | 分かりやすさ | 学びやすさの設計 |
手順3 AIとの壁打ちで言葉の候補を広げる
言い換えた「関わりたい問題(仮)」を、AIチャットに渡して言葉の候補を広げます。次の内容をコピーして使えます。
- 以下は高校生の私が書き出した、自分が反応した場面と、そこから見えてきた関わりたい問題(仮)です。
- 【反応した場面】(手順1で書いた場面を3つ書く)
- 【関わりたい問題(仮)】(手順2で書いた言葉)
- この情報だけをもとに、志望理由書で使えそうな関心の方向性の言い換えを5つ提案してください。断定せず、選択肢として提示してください。私の体験や実績を勝手に作り足さないでください。専門用語だけで終わらせず、高校生にも分かる言葉で説明してください。
手順4 AIの提案を自分の体験に戻す
AIが出した言い換え候補のうち、手順1の場面と結び付けられるものだけを残します。結び付けられない候補は、体験の裏付けがないため使いません。残った候補について、次の3点を自分の言葉で書き足します。
- その場面で具体的に何をしたか
- そのとき何を難しいと感じたか
- 今、その関心をどう深めたいか
体験の裏付けがある言葉だけを残すという順番を守ると、AIの言葉と自分の言葉が入れ替わりにくくなります。
手順5 候補を志望理由書の骨子に仮置きする
残った候補を、次の3行に仮置きします。仮置きの段階では、まだ完成した文章にしなくてかまいません。
- 反応した場面: (手順1・2で書いた具体的な場面)
- 関わりたい問題: (手順2〜4で残った言葉)
- 次に確かめたいこと: (その関心をどう調べる・深めるか)
この3行がそろえば、志望理由書の書き出しに使える材料が手元に集まります。骨子は複数作ってもかまいません。並べて比べることで、次に調べたいことが見えやすくなります。骨子から先の文章化や、学部・大学ごとの調整は、募集要項と合わせて進める別の作業です。
志望理由書 やりたいこと発見チェックシート
shiboriyuusho-yaritaikoto-hakken-check-sheet.mdMarkdown5ステップ・記入欄30
配布素材の使い方
配布素材「発見チェックシート」には、手順1〜5の記入欄をまとめています。印刷して手書きで進めるか、テキストファイルとしてコピーして使う方法があります。1回で全部を埋めようとせず、思い出す範囲で書き、翌日以降に追記する使い方もできます。
学校によって、志望理由書作成へのAIチャット利用に独自の案内がある場合があります。担任や進路指導の担当者に、利用範囲を確認したうえで進める選択肢があります。
この手順で解けないこと
この手順は、志望理由書に書ける候補を増やす段階までを対象にしています。文章の完成度や、学部・大学ごとの評価基準への適合は扱っていません。候補が複数残った場合にどれを選ぶかの判断も、この手順では扱っていません。医療やメンタルに関わる悩みが背景にある場合は、この手順の対象外です。学校の相談窓口など、別の相談先を選ぶ場面もあります。
よくある質問
将来の夢が決まっていない場合、志望理由書は書けませんか。
夢が決まっていなくても、反応した場面から関わりたい問題を言い換える順番で書ける選択肢があります。この記事の手順1〜5はその順番を示しています。
AIが出した志望理由書の文章をそのまま提出してもよいですか。
AIは実際の体験を知らないため、そのままの提出は勧めません。手順4のように、自分の場面に結び付けられる部分だけを残し、体験に基づく言葉に直す方法があります。
LIMITS この手順で解けないこと
- この手順は候補を洗い出す段階までで、文章の完成度や大学ごとの評価基準への適合は扱っていません。
- 部活動や資格などの実績が少ない場合の埋め方は、この記事だけでは判断できません。
- 医療・メンタルの悩みが背景にある場合は対象外です。学校の相談窓口など別の相談先を選ぶ場面があります。
できることだけを並べても判断は早くなりません。扱えない範囲を先に出しています。
参照した資料
資料 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 総合的な探究の時間編」 (平成30年7月公表。p.8-9「探究が高度化し、自律的に行われること」、p.12「探究における生徒の学習の姿」を参照)
資料 文部科学省 中央教育審議会 資料「キャリア・パスポート(例示資料案等)高等学校」 (2019年2月20日公開の資料3-3。自己理解・自己管理能力の定義と「小学校から高等学校までを振り返る」様式を参照)
