探究の進め方 手順とテンプレ
探究の問いの立て方|テーマとの違い・4つの型とAIプロンプト集
テーマは調べる範囲を示す言葉です。問いは、答えたときに何が残るかが決まる疑問文です。この違いを手がかりに、AIと一緒に候補を広げ、自分の言葉で1文に仕上げるまでを手順にしました。
BRIEF この記事で終わること
自分の探究テーマから作った問いの1文と、最初に確かめる資料の種類がワークシートに書き上がっている
| 記事の型 | 手順とテンプレ |
|---|---|
| 所要時間 | 60分 |
| 必要なもの | 決まっている探究テーマ、筆記用具、AIチャット1つ、印刷したワークシート |
| 手元に残るもの | 問いの候補と最終の1文、調べ方を記入した問いづくりワークシート |
| 配布素材 | 探究の問いづくりワークシート |
| 参照した資料 | 2件(記事末に一覧) |
探究の用紙で「テーマ」の欄を埋めると、次は「問い」の欄です。テーマをそのまま疑問文にしても、何を調べれば終わるのかは決まりません。手順は5つで、所要は60分ほどです。AIは問いの候補を広げる場面と、弱点を指摘させる場面で使い、最後の1文は自分の言葉で書きます。
テーマと問いは「答えの形」が決まるかどうかで分かれます
テーマは調べる範囲を示す言葉で、「地域の公共交通」のように名詞で終わります。問いは疑問文で、答えたときに手元に何が残るかが決まります。文部科学省の「高等学校学習指導要領解説 総合的な探究の時間編」は、探究の過程を4つの段階で示しています。「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」の順です。問いを立てる作業は、このうち最初の「課題の設定」にあたります。問いの1文が決まると、次の「情報の収集」で何を集めるかが決まります。
| 見分ける点 | テーマ | 問い |
|---|---|---|
| 文の終わり方 | 名詞で終わる | 疑問文で終わる |
| 例 | 地域の公共交通 | 駅前のバス路線は、この10年でどう変わったか |
| 調べ終わりの目印 | 決めにくい | 答えの形で決まる |
| 次に集める資料 | 範囲が広く絞れない | 過去の時刻表や自治体の公開資料など、種類が決まる |
問いの4つの型と、それぞれの答えの形
問いは、答えの形で4つに分けると選びやすくなります。この4分類は編集部が作業用に整理したもので、学習指導要領解説に同じ名前の分類は見当たりません。自分の候補がどの型かを確かめると、答えまでの道のりが見えてきます。
| 型 | 書き出しの言葉 | 問いの例 | 答えの形 | 主な調べ方 |
|---|---|---|---|---|
| 事実の問い | 何が・どう変わったか | 駅前のバス路線は10年でどう変わったか | 数字や年表 | 自治体の統計や公開資料 |
| 理由の問い | なぜ | 路線の本数が減ったのはなぜか | 原因の説明と根拠 | 資料の読み比べ、聞き取り |
| 比較の問い | どちらが | 通院に使うなら、乗合タクシーと路線バスのどちらが合うか | 基準を決めた比べ方 | 比較表、アンケート |
| 提案の問い | どうすれば | 高校生の通学の足をどう確保できるか | 条件つきの提案 | 他地域の事例、試作 |
提案の問いは目を引きますが、事実と理由が分からないままだと提案の根拠が薄くなります。迷ったときは、事実か理由の問いを先に1つ立て、提案は後半の作業に回す組み方があります。比較の問いでは、比べる基準を自分で決める作業が加わります。基準を2つか3つに絞れるかどうかで、取り組む期間が変わります。
テーマを問いの1文に変える5つの手順
用意するものは、決まっている探究テーマ、筆記用具、AIチャット1つ、記事の後半にあるワークシートです。
- 気になることを10個、AIを開く前に自分の手で書き出します。所要は10分です。「なぜ」と思った場面、数字を知りたいこと、人によって意見が分かれそうなことを短い言葉で並べます。
- 書き出したメモのうち3〜5個をAIに渡し、4つの型で問いの候補を出してもらいます。所要は15分で、下のプロンプト1を使います。
- 候補の中から3つを選び、答えの形と確かめに使う資料の種類を書き添えます。所要は15分です。資料の種類が書けない候補は、この段階で外します。
- 3つのうち一番取り組みたい問いをAIに渡し、弱いところを指摘してもらいます。所要は10分で、プロンプト2を使います。
- 指摘を読んだうえで、問いを自分の言葉で1文に書き直します。所要は10分です。書き直した1文はプロンプト3に渡し、意味を決めておく言葉を洗い出します。
手順1をAIより先に置いたのは、自分が何に引っかかったかの記録を残すためです。AIの候補は手順1のメモを材料にして出てくるので、メモが具体的なほど候補も自分の場面に近づきます。
AIに渡すプロンプト3つ
【】の部分を自分の内容に置き換えて、そのまま貼り付けて使います。プロンプト1は、メモから4つの型の候補を出してもらうときに使います。
あなたは高校生の探究学習の相談相手です。
私の探究テーマは【テーマ】です。
気になっていることは次のとおりです。
・【メモ1】
・【メモ2】
・【メモ3】
このテーマについて、次の4つの型で問いの候補を2つずつ出してください。
1. 事実の問い:何が・どう変わったか
2. 理由の問い:なぜ
3. 比較の問い:どちらが
4. 提案の問い:どうすれば
それぞれに「答えの形」と「高校生が手に入れられる資料の種類」を1行で添えてください。
問いは1文40字以内にしてください。プロンプト2は、選んだ問いの弱いところを指摘してもらうときに使います。
次の問いを、高校生が【期間】で取り組む探究の問いとして点検してください。
問い:【選んだ問い】
次の4点について、弱いところを1つずつ指摘してください。
1. 答えたときに何が手元に残るかが決まっているか
2. 高校生が手に入れられる資料で確かめられるか
3. 言葉の意味が人によってぶれないか
4. 調べる前から答えが分かりきっていないか
直した問いの例文は書かないでください。直す方向だけを示してください。プロンプト3は、書き直した1文の言葉の意味を確かめるときに使います。
次の問いについて、調べ始める前に意味を決めておく言葉を3つ挙げてください。
問い:【書き直した問い】
それぞれ、どの種類の公開資料で意味を確かめられるかを書いてください。
問いへの答えそのものは書かないでください。プロンプト2で例文を書かせないのは、AIの文が先に目に入ると、自分の言葉で直す作業が止まりやすいためです。AIが挙げた資料名や数値は、この段階では実在するかを確かめていません。図書館や官公庁のサイトで照合してから使います。
AIの候補を自分の問いに直す3つの確かめ
AIの候補は、用紙に写す前に次の3点で直します。
- 候補に「地域」「若者」のような広い語があれば、自分が通う町の名前や自分の学年など、場面が分かる語に置き換えます。
- 友人に説明できない語が入っていたら、説明できる言葉に言い換えます。言い換えられない語は、プロンプト3で意味を確かめる候補に回します。
- 問いの答えが一般論の1文で閉じてしまわないかを見ます。「人口が減ったから」で終わりそうな問いには、自分の町のどの資料で確かめるかを書き足します。
AIの候補文をそのまま用紙に写さず、自分の場面と言葉で書き直した1文を提出用にします。 書き直す前と後の文をワークシートのステップ4に並べて残すと、先生との相談で経緯を説明できます。
探究の問いづくりワークシート
tankyu-toi-zukuri-worksheet.mdMarkdown5ステップ・記入欄30以上・記入例つき
文部科学省は令和6年12月26日に「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」を公表しています。授業でAIを使える範囲は学校ごとに案内されていることがあるため、担当の先生の指示を先に確かめます。各AIサービスの利用規約にある年齢の条件も確認が要ります。
書き上げた問いを先生との相談に持っていく
最後に、ワークシートのステップ5にある7つの確認欄に印を付けます。印が付かない欄があれば、手順3か手順5に戻ります。問いの1文と、最初に確かめる資料の種類を1つ書いた状態で、授業の相談の時間に持っていきます。先生から指摘を受けたらワークシート末尾の欄に書き留め、次の授業までに問いを1回書き直します。
よくある質問
探究のテーマと問いの違いは何ですか。
テーマは調べる範囲を示す言葉で、名詞で終わることが多くあります。問いは疑問文で、答えたときに何が手元に残るかが決まります。問いが決まると、集める資料の種類も決まります。
探究の問いにはどんな種類がありますか。
答えの形で分けると、事実・理由・比較・提案の4つに整理できます。これは作業のための分け方で、公的な分類として定められたものは見当たりません。迷ったときは、事実か理由の問いを先に1つ立てる組み方があります。
探究の問いをAIに考えてもらってもよいですか。
授業でのAIの使い方は、学校の案内を先に確かめます。使う場合も、AIの候補をそのまま写さず、自分の場面と言葉に書き直した1文を使う形をすすめます。
参照した資料
資料 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 総合的な探究の時間編」 (平成30年7月公表。探究の過程を「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」で示した記述を参照)
資料 文部科学省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0」 (令和6年12月26日公表。学校での生成AI利用の考え方の全体を参照)


